はじめに|お店で一番多い質問から
モス神戸で苔テラリウムを見ていると、よくこんな声をかけられます。
「これ、水入れてもいいんですか?」
「エビとか魚、入れられますか?」
その瞬間、たぶんみんな、
“ただのインテリア”じゃなくて、“自然の一部”を部屋に置きたいって思っているんだと思います。
苔テラリウムとアクアリウム。
この2つは本来、育て方も管理方法も違う世界です。
でも、見ている人の気持ちは、たぶん同じ場所を向いている。
「森と水辺がある風景を、手のひらサイズで見てみたい」
この記事では、
苔テラリウムとアクアリウムの“違い”だけじゃなく、
その“あいだにある世界”を、モス神戸の視点でお話しします。
苔テラリウムとアクアリウムは、そもそも何が違う?

まず、現実的なところから。
苔テラリウム
苔テラリウムは、陸の世界です。
ガラス容器の中に、苔や小さな植物、石や流木を置いて、
森の地面や岩場の風景を切り取るようにつくります。
水は「景色を育てるためのもの」であって、
生き物が暮らす場所ではありません。
アクアリウム
一方、アクアリウムは、水の世界です。
水槽の中は、魚やエビ、水草が「生活する場所」になります。
水は飾りではなく、
命そのものを支える環境です。
ここまでは、きれいに線が引けます。
でも、
それでも人は、苔テラリウムを見ていると、
なぜか水を入れたくなる。
なぜ「水を入れたくなる」のか
推測ですが、
人は「流れ」を見ると、そこに自然を感じやすくなると言われています。
森の中でも、
記憶に残る風景って、
・沢が流れている場所
・水たまりがある岩場
・湿った地面に苔が広がっている場所
そんな“水と緑が一緒にある景色”じゃないでしょうか。
苔だけだと「森」。
水が入ると「風景」になる。
だから、
苔テラリウムを見ていると、
自然とアクアリウムの世界に、気持ちが引っ張られるんだと思います。
苔テラリウムとアクアリウムの「あいだ」にある世界
この2つの世界の間には、
アクアテラリウムとか、パルダリウムと呼ばれるスタイルがあります。
簡単に言うと、
陸と水を、ひとつの容器の中で共存させる世界です。
水辺の岩に苔が生えていて、
下には水がたまっていて、
その中をエビや小さな生き物が動いている。
まさに、
「自然の断面図」みたいな景色です。
でも、ここで大事なことがあります。
いきなり“両方やる”のは、正直むずかしい
苔テラリウムは、
「植物の管理」です。
アクアリウムは、
「生き物の飼育」です。
この2つを同時にやると、
管理の難易度は、単純に足し算じゃなく、掛け算になります。
だからモス神戸では、
こういう考え方をおすすめしています。
モス神戸流・自然の世界への入り方
レベル1|苔テラリウムだけの世界
まずは、
苔が育つ様子を観察するところから。
湿度が足りないと色が変わる。
光が強すぎると、元気がなくなる。
風通しが悪いと、カビが出る。
ここで、
「環境って、生き物にとって大事なんだ」
という感覚が、自然と身につきます。
レベル2|水の“景色”を足す
次に、
生き物を入れずに、水たまりや流れの表現を足します。
小さな窪みに水を張ったり、
石の間に水が溜まるようなレイアウトをつくったり。
ここでは、
水は「命」じゃなく、風景の一部です。
レベル3|生き物が入る世界
ここで初めて、
アクアリウムの領域に入ります。
エビ、魚、両生類。
この段階からは、
「きれい」よりも、「生きられるかどうか」が最優先になります。
正直に言うと、
ここからは、専門店や詳しい人に相談するのが一番安全です。
苔は、水の中で生きられるの?

ここも、すごくよく聞かれます。
答えは、
ほとんどの苔は、水の中では長く生きられません。
苔テラリウムで使う苔の多くは、
「湿った空気」は好きですが、
「水に沈む」のは苦手です。
ただし、
アクアリウムの世界には、
水の中で育つ“モス”と呼ばれる種類があります。
名前は似ていても、
役割も、育て方も、世界も、別物だと思ってもらうと分かりやすいです。
苔テラリウムとアクアリウムの違いを、感覚で言うなら
苔テラリウムは、
“眺める自然”。
アクアリウムは、
“預かる命”。
どちらも美しいけれど、
責任の重さは、少し違います。
よくある質問
苔テラリウムに魚を入れてもいい?
基本的にはおすすめされていません。
苔テラリウムは、水槽として設計されていないため、
魚が安全に暮らせる環境を維持するのが難しいです。
水を入れるだけなら大丈夫?
景観として少量の水を入れるだけなら、
問題が出にくいケースが多いです。
ただし、蒸れやカビが出やすくなるため、換気は必須です。
初心者はいきなりアクアテラリウムをやってもいい?
推測ですが、
失敗してやめてしまう人が多いのも、このパターンです。
苔 → 水 → 生き物、
この順番の方が、長く楽しめることが多いです。
モス神戸として伝えたいこと
モス神戸では、
苔テラリウムを、
「自然と付き合う入口」だと思っています。
いきなり命を預かる前に、
まずは、
水の量で景色が変わること、
光で色が変わること、
風通しで空気が変わること。
そういう、
自然の“機嫌”みたいなものを、感じてほしい。
その先に、
アクアリウムや、アクアテラリウムという、
もっと深い世界が待っている。
まとめ|苔テラリウムとアクアリウムのあいだで
苔テラリウムは、
自然を「切り取る」世界。
アクアリウムは、
自然を「預かる」世界。
そのあいだには、
水と緑と空気が混ざり合う、
小さな風景の世界があります。
もし、
苔テラリウムを見て、
「ここに水があったら、もっときれいだろうな」
そう思ったなら。
それはもう、
あなたが、自然の中に一歩、踏み込んでいる証拠かもしれません。