「コケにされがちだけど、実はものすごいポテンシャルを秘めた植物の苔」おまけ!まるで蛇のウロコ?マツタケの香りがする驚異の苔「ジャゴケ」のディープな世界

こんにちは!

「コケ(虚仮)にする」の誤用から始まり、抗菌作用、宇宙実験、そして「MOSSバーガー」といった食の挑戦までお届けしてきた本連載も、今回でいよいよ最終回です。

前回の「苔を食べる会」の紹介で、バーガーや竜田揚げ、スイーツとして大活躍していたコケの名前を覚えているでしょうか? そう、「ジャゴケ(蛇苔)」です。

最終回は、この、コケ界の中でもひときわ異彩を放つ「ジャゴケ」という植物の、ディープで面白い生態を徹底解説します!

■ 名前はおどろおどろしい「蛇のコケ」

ジャゴケを漢字で書くと「蛇苔」。名前の通り、見た目が非常に特徴的です。

地面や湿った岩肌にベタっと平べったく広がるタイプのコケ(葉状体)なのですが、その表面をよーく見てみると、まるで「ヘビのウロコ」のような綺麗な六角形の網目模様がびっしりと並んでいます。

この見た目から「ヘビを連想させるコケ」としてジャゴケという名がつきました。ちょっと不気味に思われることも多いですが、コケマニアの間では「この幾何学的なウロコ模様がたまらなく美しい!」と、熱狂的なファンを持つコケでもあります。

似た苔にゼニゴケ(銭苔)があります。こちらの名前の方がよく知られているのではないでしょうか。

■ 庭の嫌われ者のゼニゴケ?ジャゴケは山奥?実はどこにでもいる身近な存在

ジャゴケ「そんなおもしろいコケ、山奥にしかいないんでしょう?」と思うかもしれませんが、実はめちゃくちゃ身近に生えています。

あなたの家の裏の、日が当たらないジメジメした通路や、ブロック塀の根元、庭の隅などを探してみてください。緑色のウロコのような平べったい植物が地面を覆いつくしていませんか? それ、高確率でゼニゴケ、ジャゴケ(またはその仲間)です。

庭先では「いくらむしっても生えてくるし、見た目がちょっと不気味だから嫌い」と、雑草扱いで嫌われがちなコケがゼニゴケです。似てるけど違うジャゴケも同じような所に生息しています。

■ゼニゴケとジャゴケの比較

項目 ゼニゴケ(銭苔) ジャゴケ(蛇苔)
見た目の第一印象 平らで、地面にピタッと広がっている 肉厚で、表面に立体感(凹凸)がある
表面の模様 比較的のっぺりしており、白い斑点(気室孔)が細かく並ぶ ウロコのような網目模様がはっきりしており、ヘビの皮膚を連想させる
手触り・質感 薄くてやや硬め 肉厚でツヤがあり、触ると少しふかふか・ヌルッとした質感
生殖器官の形

【傘のような形】


・オス:平らな円盤状の傘


・メス:破れた日傘(指を開いた手)のような形

【キノコやトカゲの頭のような形】


・オス:葉に埋もれた平らな座布団状


・メス:柄が伸びてマッシュルーム状の傘になる

無性芽(クローン) 葉の表面に**「さかずき(杯)型」の器**ができ、その中に小さな粒(無性芽)が溜まる 原則としてゼニゴケのようなさかずき型の器は作らない
におい

ほとんどない(一般的な苔のにおい)

潰すと**独特の強い青臭さ(マツタケに似た匂いとも言われる)**がある

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💡 見分けるポイント

いちばん簡単な見分け方は、表面の「網目模様」と「ツヤ」です。

  • ゼニゴケ: 全体的に平べったく、マットな質感。小さな「さかずき」のような器が葉の上に見えたらゼニゴケです。

  • ジャゴケ: まさに「ヘビのウロコ」のような模様があり、独特のツヤとボリューム感があります。少しちぎって指で潰したときに、強い青臭いにおいがするのもジャゴケの大きな特徴です。

■ ジャゴケの秘密:こすると「マツタケの香り」がする!

見た目はちょっと爬虫類ライクなジャゴケですが、実は最大の特徴はその「匂い」にあります。

生きているジャゴケを指で少し強めにこすったり、料理のために傷をつけたり加熱したりすると、周囲にフワッと「マツタケ(松茸)のような芳醇な和の香り」が漂うのです。

「MOSSバーガー」や「ペペロンチーノ」にジャゴケが選ばれた最大の理由はこれ。味自体はほぼ無味なのですが、鼻に抜ける香りがまさにマツタケそのもの(厳密には、マツタケに含まれる香り成分と同じ成分をジャゴケも持っているため)なので、料理の風味付けとして抜群のポテンシャルを発揮するのです。

 

🔍 苔散策!現地で迷わないための「3ステップ判別法」

フィールドでジャゴケを見つけたら、次の3つの順番でチェックしていくと、誰でも簡単に種類を絞り込むことができます。

  • STEP 1:裏面の色を見る

    • めくってみて「鮮やかな赤色」なら ➡️ ウラベニジャゴケの可能性大!

    • 赤くなければ ➡️ STEP 2へ

  • STEP 2:葉(葉状体)の幅を見る

    • ドシッと太い(1cm近い) ➡️ オオジャゴケ

    • 中くらいの太さ ➡️ マツタケジャゴケ

    • 細くて繊細 ➡️ タカオジャゴケ(またはウラベニ)

  • STEP 3:指でこすって匂いを嗅ぐ

    • 「あ、松茸だ!」と思ったら ➡️ マツタケジャゴケ

    • 「レモンやハーブみたいに爽やか」なら ➡️ オオジャゴケ

    • ほとんど匂わなければ ➡️ ウラベニジャゴケ or タカオジャゴケ

 

■ 豆知識:実は奥が深い!ゼニゴケの仲間たち

ジャゴケのように地面にペタッと広がるタイプのコケは「ゼニゴケ植物門」というグループに属しています。一見どれも同じように見えますが、実は雌器托(しきたく:胞子を作るために伸びる、傘のような部分)の形や、生えている場所で見分けることができます。

種類 雌器托(傘)の形 葉(葉状体)の色・形 主な生育地
ゼニゴケ 丸い(6〜9個に深く裂ける) 幅が広く、明るい緑色 人家の周辺、庭、道端
フタバネゼニゴケ 丸い(裂け目が少ない) 細め、暗い緑色 湿地から山地
トサノゼニゴケ 丸い(縁がギザギザしている) 細い、濃い緑色 山地、日陰の斜面
ヒトデゼニゴケ 星形(ヒトデのような形) 細い、明るい緑色 山地の湿った岩場

 

■ 「コケ」をコケにしてはいけない!

「コケにされがちだけど、実はものすごいポテンシャルを秘めた植物の苔」と題していつもと違う視点で「コケ」の魅力を紹介してきましたが、いかがでしたか。

ネットの誤用から始まった「コケにされた(虚仮にされた)」という言葉。漢字のイメージから、なんとなく「踏みつけられる地味で価値のない植物だから、バカにされる意味になったのかな?」と思ってしまいがちですが、実際の植物のコケは、医療を支え、地球環境を守り、宇宙進出や最先端バイオを支え、さらには美食の可能性まで秘め、心を癒してくれる存在、とんでもないスーパー植物だと知ってもらいたい。

「コケにする」という言葉に「苔」が使われないように、これからも苔の魅力を発信していきたいと思います!

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

書いた人

るみねん|苔テラリウム作家 / MOSS KOBE  

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